松本雄貴のブログ

本。映画。演劇。旅。

映画

110回目「大人は判ってくれない」(フランソワ・トリュフォー監督)

ヌーヴェル・ヴァーグの旗手、フランソワ・トリュフォーの長編第一作。といっても「ヌーヴェル・ヴァーグ」がどういうものなのか、実はよく分かっていない。漠然とは分かる。「即興演出とか大胆な省略とかを用いて撮った当時としては革新的な映画の総称」く…

109回目「パラレル・マザーズ」(ペドロ・アルモドバル監督)

ペドロ・アルモドバル監督の映画は、話の設定を作るのが巧い。その設定さえあれば、どう転んでも面白くなるような設定を作る。中には「さすがにそれはないだろう」と思うような設定もある。しかし、そんな強引な設定でも不思議と作り手の都合を感じさせない…

108回目「欲望」(ミケランジェロ・アントニオーニ監督)

なんとなくダラダラと見始めて、ちょっと退屈だなと思いつつも途中で鑑賞を止める事もなく、というか、切り上げるタイミングを見失い、結局ラストまで観た。ダラダラと見続けて気が付けば終わっていた。全体的に印象が薄い映画だった。ラストもモヤモヤとし…

105回目「ニック・オブ・タイム」(ジョン・バダム監督)

ジョニー・デップが主演の映画。面白いけど突っ込みどころは沢山ある。映画内で流れる時間と実際の時間が同じ、というのがこの映画のセールス・ポイントらしい。その点に関しては「言われてみれば確かにそうだなぁ」くらいの感慨しかない。イニャリトゥ監督…

102回目「ノスタルジア」(アンドレイ・タルコフスキー監督)

タルコフスキーの『ノスタルジア』を頑張って観た。「頑張って」というのは「途中で眠らずに」という意味である。タルコフスキーの映画は、他に何本か観ている。どれも途中で力尽きた。最短は『惑星ソラリス』で、恐らく、開始15分くらいで寝たと思う。 途中…

100回目「キリング・ミー・ソフトリー」(チェン・カイコー監督)

取り敢えず、ヘザー・グラハム演じるヒロインの行動がアホ過ぎて…。ムカつく。 ムカつきたい時に観るといいかもしれない。 キリングミーソフトリー、タイトルの語呂は良くて、つい口ずさんでみたくなる。 それくらいしか書くことないなぁ。 キリング・ミー・…

98回目「ロフト」(エリク・ヴァン・ローイ監督)

ググってみたら、日韓合作の同名の映画があった。シンプルな題名なので被る事もあるだろう。今回は日韓の方ではなく、ベルギー映画である。思えば、ベルギーの映画を観るのは初めてかもしれない。 ロフトとは日本語で「中二階」という意味である(厳密には違…

96回目「バーバー」(コーエン兄弟監督)

ビリー・ボブ・ソーントン演ずるエドは、義兄の経営する床屋で雇われ理容師として働いている。寡黙に淡々と客の髪を刈る毎日。妻のドリスが会社の上司デイヴと不倫しているのもエドは黙認している。ある日、一人の男がドライクリーニング事業への投資話をエ…

94回目「オール・アバウト・マイ・マザー」(ペドロ・アルモドバル監督)

数年前に初めて観た時は、途中で10分ほど寝てしまった。当時は少し睡眠不足で疲れていたのである。そのため、ストーリーを見失った。ストーリーは見失ったが、断片的ないくつかのシーンは、強烈に記憶に残っていた。アルモドバルの映画は色気がある。耽美的…

93回目「イエスタデイ」(ダニー・ボイル監督)

ビートルズについては、一応、代表曲とメンバーの名前くらいは知っている。東洋思想とかヨガに嵌ってインドのリシュケシュという街に滞在していた、という噂も聞いたことがある。でも、自分がビートルズについて知っていることは、それくらいだ。なぜか、ビ…

91回目「鳥」(アルフレッド・ヒッチコック監督)

動物を見た時、「かわいい」と思うと同時に何とも言えない不思議な気分になることがある。例えば、猿回しの猿が、芸をするのを見た時。彼らは、確実に人語を理解し、人間との意思疎通もできる。仕草や表情なんかを見ても立派な感情を持った生物であることが…

90回目「ザ・ロック」(マイケル・ベイ監督)

ショーン・コネリーとニコラス・ケイジ主演のハリウッド映画。 テロリスト達(元米軍海兵隊)が、アルカトラズ島に一般観光客を拉致し、政府に身代金1億ドルを要求する。テロリストたちは、要求を飲めない場合、VXガスを搭載したミサイルを市街に打ち込むと脅…

89回目「自由の幻想」(ルイス・ブニュエル監督)

昔、ダウンタウンのコントに『実業団選手権』というのがあった。小学生の時に初めて見て爆笑した。しかし、このコントの面白さを文章で伝えるのは困難だ。「面白さ」には言語化が可能なものと、そうでないものがある。映画でも小説でもお笑いでも、粗筋があ…

86回目「激突!」(スティーブン・スピルバーグ監督)

一台の赤い乗用車がアメリカの田舎道を走っている。片道一車線である。運転手は普通の中年男性。カーラジオを聞きながら、たまに車内で独り言を呟いている。後方にチラチラと大型タンクローリーが見えるが、別に気にならない。よくある光景である。途中、中…

85回目「秘密と嘘」(マイク・リー監督)

数年前にカンヌでパルムドールを受賞した映画。前回のブログで中上健次の『枯木灘』を取り上げた。『枯木灘』を読了して数日後に観たのが、このマイク・リー監督による『秘密と嘘』である。どちらも登場人物たちを取り巻く「複雑な血縁関係」が作品のベース…

82回目「ダウン・バイ・ロー」(ジム・ジャームシュッ監督)

先日、テレビで「日本人が好きな映画ベスト100」という番組を見た。その名の通り、日本人が好きな映画をランキング形式で順に紹介していく番組で、時折、パネラーが見た事のある映画についてコメントを挟む。番組には特に何の不満もないが、まあ予定調和な内…

80回目「ソードフィッシュ」(ドミニク・セナ監督)

映画を観ながら、映画の本筋とは殆ど関係の無いことを三つ考えてしまった。何を考えたかを、下らない順に紹介する。 一つ目は、ジョン・トラボルタという俳優についてある。 ジョン・トラボルタ・・・。不思議な俳優だと思う。自分はジョン・トラボルタの顔…

78回目「ダージリン急行」(ウェス・アンダーソン監督)

ウェス・アンダーソン監督の映画を最初から最後までちゃんと観たのは、この『ダージリン急行』が初めてだ。過去に『グランド・ブダペスト・ホテル』と『ムーンライズ・キングダム』を途中まで観てやめてしまった。なんとなく映画のテンションについていけな…

76回目「パッション」(ブライアン・デ・パルマ監督)

ゴダールとメル・ギブソンも同名の映画を撮っている。今回は、ブライアン・デ・パルマの『パッション』である。当たり前だが、他の『パッション』と内容は全然違う。3つの『パッション』の中では、エンターテイメント色が強く、一番見やすいのではないだろう…

74回目「サイドウェイ」(アレクサンダー・ペイン監督

たまに観たくなる映画の一つ。 マイルスとジャック。2人の中年男の珍道中を描いたロードムービー。マイルスは小説家志望だが、まだ夢は叶わず教師として生計を立てている。ワインに造詣が深い。恋愛は奥手で不器用。繊細な性格。 ジャックはテレビ俳優でプ…

73回目「悪い種子」(マーヴィン・ルロイ監督)

1956年公開の映画。まず原作の小説があり、次いでブロードウェーで舞台化され、最後に映画化された。その後、別の監督でリメイクされている。知ったような書き方だが、全部ウィキペディアで調べた情報である。原作小説は読んでいないし、舞台はもちろん観て…

71回目「21グラム」(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)

見終わってから2週間ほど経っているので、だいぶ記憶が薄らいでいる。重たい映画であったことは覚えている。内容自体の重たさに加えて、ベニチオ・デル・トロなどの俳優の演技も重厚であった。脚本も重層的であった。3人の主要登場人物のエピソードを、時…

69回目「月に囚われた男」(ダンカン・ジョーンズ監督)

監督はデヴィッド・ボウイの息子らしい。デヴィッド・ボウイは、自分が最も敬愛するミュージシャンの一人だが、息子の映画監督としての活躍は殆ど知らなかった。 たった一人で3年間、月面で採掘作業をしている男が主人公。話し相手は人工知能のみ。想像する…

68回目「ファーゴ」(ジョエル・コーエン監督)

最近、かなり精神的に参っている…。それはさておき。 金に困った男が、同僚の知り合いの二人のチンピラに妻を誘拐させ、義父に身代金を払わせ、その身代金の半分を誘拐犯に渡し、残りの半分を自分のものにする・・・。という計画が二転三転し、悲劇が起こる…

66回目「その男、凶暴につき」(北野武監督)

自分は「歩き方」にコンプレックスがある。どうも自分の歩き方は、他の人と比べると変なのだ。それを初めて自覚したのは、学生の頃だ。アルバイトの面接に行った時だった。面接が終ると、立ち上がって面接官に一礼する。そして向きを変えて部屋を出る。この…

63回目「エイリアン」(リドリー・スコット監督)

『エイリアン』は、自分にとって特別な映画だ。自分の意志で見た初めての映画が『エイリアン』なのだ。中学1年生の時、近所のTUTAYAで会員証を作った。親の扶養に入っている健康保険証を持参し、受付カウンターで複写式になっている専用の用紙に氏名や住所…

62回目「見知らぬ乗客」(アレフレッド・ヒッチコック監督)

ヒッチコックの代表作の一つ。ヒッチコックのファンからも比較的人気が高い作品ではないだろうか。 性悪な妻と離婚して、政治家の娘と結婚したいと常々思っていたテニス選手(ガイ)が、列車の中で偶然出会ったブルーノと名乗る怪しい男に交換殺人を持ちかけら…

60回目「毛皮のヴィーナス」(ロマン・ポランスキー監督)

果たして「SとM」という概念は「陰と陽」「馬鹿と天才」「強者と弱者」などのように明確に区分できる対義語なのだろうか。一般的には、Sは虐げる人、Mは虐げられる人というイメージが広く持たれている。その意味では、確かに両者は対極の概念である。両者の…

59回目「野いちご」(イングマール・ベルイマン監督)

1957年公開の映画。本ブログで取り上げた映画の中では恐らく一番古い。有名な映画だが、自分は初めて観た。モノクロの映画なので、眠気に襲われないか心配だったが杞憂だった。巨匠の古典的名作だと思って最初は身構えたが、途中から全く気負わずに観ること…

56回目「ガンモ」(ハーモニー・コリン監督)

正直、全然面白くなかった。「面白くなさ過ぎて逆に面白い」という訳でもなく、純粋に面白くなかった。最後まで観るのが苦痛だった。こんな映画も珍しいと思う。全体的に変な映画だなぁという印象は持ったが、変であることが映画の長所になっているわけでも…