日々の読書日記

読書の忘備録です

2024-01-01から1年間の記事一覧

129回目「美しい星」(三島由紀夫:新潮文庫)

「自分たち宇宙人だ」と思い込んでいる家族の話。要するに、狂人の話である。或いは本当に宇宙人である可能性もある為、断定はできないが。 数多ある三島由紀夫の小説の中でも異色だと感じた。多分、作者名を知らずに読んだら、三島由紀夫だと気付かなかった…

128回目「テオレマ」(ピエル・パオロ・パゾリーニ監督)

ブルジョア家族の住む屋敷に、ある日突然、美少年がやって来て、家族全員と性的な関係を結び、唐突に去っていく。その後、各々の家族たちは…… 性的な関係とは言っても直接的な描写はあまりない。肉体的な繋がりよりも精神的な繋がりを表しているのか、なんと…

127回目「脂肪の塊・テリエ館」(ギ・ド・モーパッサン:新潮文庫)

モーパッサンの中編2つが収録されている。『脂肪の塊』と『テリエ館』 有名な作品だが、初めて読んだ。『脂肪の塊』についてのみ述べる。いや、『テリエ館』も面白いのだが、『脂肪の塊』の方が印象が強いので。 「脂肪の塊」というのは、主人公である娼婦の…

126回目「モンスター」(パティ・ジェンキンス監督)

兎に角、シャーリーズ・セロンがものすごく頑張っている。 この映画を観るのは2回目である。最初に観たのは十数年前。悲惨な幼少期を過ごした娼婦が、客の男性を殺害するというショッキングな内容の為か、十数年経った今でもよく覚えていた。この度、アマプ…

125回目「ラ・ラ・ランド」(デイミアン・チャゼル監督)

アマプラで鑑賞したのが、2週間ほど前の為、細部はあまり覚えていない。ブログのネタもないので、思い出しつつ書く。が、解釈など間違っているかもしれません。 夢追いフリーターの恋愛を描いたミュージカルで、予定調和な展開だろうなぁと思っていたけれど…

124回目「憐れみの3章」(ヨルゴス・ランティモス監督)

絶賛上映中のヨルゴス・ランティモスの新作。新作が公開される度に毎回映画館で観るのは、ランティモスとアルモドバルです。なんとなく、好きなんです。 それぞれ独立した3つの物語。 はっきり言うと、3つの物語ともストーリーを思いつくままに書いたような…

123回目「闘争領域の拡大」(ミシェル・ウェルベック:河出文庫)

真偽のほどは定かではないが、宮沢賢治は生涯童貞だったらしい。この話を知った当時の自分は、何故か心の底から安堵した。恐らく、高校生だった。当時の自分は、勉強もスポーツもできない、陰気な学生だった。異性からモテる要素が皆無であった。性欲は人並…

122回目「ガラスの街」(ポール・オースター:新潮文庫)

少し遅いが、今年の4月に亡くなったポール・オースターの追悼ということで読んでみた。いわゆるニューヨーク3部作の第1作目。後の2作は『幽霊たち』と『鍵のかかった部屋』。といっても、この3作は連作というわけではなく、それぞれ独立している。 自分は過…

121回目「宇治拾遺物語」(町田康訳 :河出文庫)

先日、ヨーロッパ企画という劇団の『来てけつかるべき新世界』という芝居を観た。 まあ面白く、何度も笑った。AIとロボットが大阪新世界に住む庶民の暮らしを席捲する近未来の話。基本的には、吉本新喜劇のようなドタバタコメディを基調としていて、バカバカ…

120回目「フォロウィング」(クリストファー・ノーラン監督)

クリストファー・ノーランの映画は、『メメント』を最初に観て、「へぇ。けっこう面白いやんけ」と思い、以降も何本か観ているが、どうも最初に観た『メメント』を超える作品はなく、大作になればなるほど、面白さは下降気味で、『インターステラー』とか『…

119回目「知と愛」(ヘルマン・ヘッセ:新潮文庫)

中学生の頃に『車輪の下』『デミアン』を呼んで以来のヘルマン・ヘッセである。 『知と愛』である。「ナルチスとゴルトムント」という副題が付いている。ナルチスもゴルトムントも人物名だ。「知」を重んじるナルチスと「愛」を重んじるゴルトムント。時に哲…

118回目「96時間」(ピエール・モレル監督)

『96時間』というタイトルだが、実際の上映時間は93分。93分間全く無駄がない。 ストーリーをざっくり説明すると、リーアム・ニーソン扮する元CIA工作員がフランス旅行中に誘拐された実娘を96時間以内に救い出す、というもの。それだけの映画。深さも奥行き…

117回目「ある男」(平野啓一郎:文春文庫)

現役で活躍する現代作家の現代小説を読んだのは久しぶりだ。 平野啓一郎さんの『ある男』 シングル・マザーの里枝は、谷口大祐と名乗る男と出会い再婚する。ある日、大祐は仕事中の事故で命を落とす。やがて、夫だと思っていた「谷口大祐」は名前も素性も過…

116回目「ゴッドファーザー part Ⅱ」(フランシス・フォード・コッポラ監督)

昔。定食屋に一人で昼飯を食べに行った。ランチ時で店内はかなり混んでおり、明らかにホールスタッフの数が足りていなかった。 そこへ、50代くらいの見るからに柄の悪いヤクザ風のおっさんが、店に入り食券を買ってテーブル席に座ったが、店員は忙しすぎてお…

115回目「マッチ工場の少女」(アキ・カウリスマキ監督)

最近では『枯れ葉』で監督に復帰したフィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキが1990年に撮った映画。 アキ・カウリスマキの映画は初期の作品を除いて殆ど観ている。『マッチ工場の少女』も10代の頃に一度観た。70分弱と短く、あまり印象に残っていなかったの…

114回目「パルタイ」(倉橋由美子:新潮文庫)

映画『関心領域』の感想を書こうと思ったが、やめる。すでに多くの人が、ブログや動画でこの映画の感想を述べ解説している。幾つか拝見したが、そのどれもが非常に得心のいくもので、今更自分如きが、このブログで言及しても意味がないと思ったからだ。 ただ…

113回目「ヴィーガンズ・ハム」( ファブリス・エブエ監督)

以下の粗筋は、ウィキペディアからの抜粋。 「ソフィアとヴァンサン夫妻は肉屋を営んでいるが、経営が思わしくない。2人の結婚生活もうまくいっておらず、友人で商売敵でもあるステファニーとマルク夫妻の嫌味な言動にも苦しめられている。 そんなある日、過…

112回目「海辺のカフカ:村上春樹(新潮文庫)」

村上春樹は中学生かそこらくらいに『ノルウェイの森』を読んで、ナルシスティックな世界観がどうにも自分には合わないと思い、それ以降、読むのを敬遠していた。どうせ、ちょっと影がある感じのミステリアスなイケメンが生の喪失感に悩むような話なんでしょ…

111回目「灯台へ」(ヴァージニア・ウルフ:岩波文庫)

めっちゃ久しぶりのブログ投稿です。 ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』は、自分的にはカフカの『城』よりも難しかった。 家父長制への批判みたいなものがテーマになっているのは分かる。 が、そんなことより登場人物たちの会話が面白い。 第一部のラスト近…