松本雄貴のブログ

本。映画。演劇。旅。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

104回目「ボヴァリー夫人」(フローベール:新潮文庫)

この小説の主人公はエマという名前の女性である。エマの物語である。しかし、タイトルは『エマ』ではなく『ボヴァリー夫人』である。小説内では、エマの行動と心理が最も多く描かれているのにも関わらず、この著しく主体性を欠いたタイトルが興味深い。しか…

103回目「浮雲」(林芙美子:角川文庫)

言ってしまえば、「不倫の果て」のような小説である。芸能人の不倫がゴシップになる度、「他人の事などどうでもいい」とか「興味がない」とか嘯いているが、そのくせ、つい関連するネット記事などを漁ってしまうのは、やはり、不倫に興味があるからだ。不倫…