松本雄貴のブログ

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105回目「ニック・オブ・タイム」(ジョン・バダム監督)

ジョニー・デップが主演の映画。面白いけど突っ込みどころは沢山ある。映画内で流れる時間と実際の時間が同じ、というのがこの映画のセールス・ポイントらしい。その点に関しては「言われてみれば確かにそうだなぁ」くらいの感慨しかない。イニャリトゥ監督『バードマン~あるいは無知と言う名の偏見~』(←これは、監督名も正式タイトルも合っているか自信がない)とか、サム・メンデス監督の『19○○~命を懸けた伝令~』(←これも正式タイトルを忘れたので○○で誤魔化す。ご了承を。)のように最初から終わりまでワンカットで撮っている、なんてのはインパクトがあるけれど、『ニック・オブ・タイム』は、そんな手法は使っていない。話はスピーディーに展開して、ハラハラドキドキさせられる。

でも、根本的によく分からない部分があった。州知事の暗殺なんて大それた計画を立てているのに、その実行犯役を駅でたまたま見つけた素人に任せるかね? 自分たちでやった方が確実なのに。見てもらえれば分かるが、この映画に出てくる悪者たちは、無駄に用意周到で狡猾なくせに、一番大事な部分が杜撰すぎるのだ。こいつらは殺人を抵抗なくできる残虐性は持ち合わせている(秘書の女性をいとも簡単に殺害するシーンがある)。それなのに、肝心の知事暗殺の実行は、素性の分からない男の娘を誘拐して脅す、なんて回りくどい方法を採用しているのだ。それで知事の暗殺をすんなり出来ないジョニー・デップにイラついているのだ。

でも、悪者達がアホでムカつく奴らであるからこそ、こいつらがやっつけられるのは爽快感があるのも事実である。