松本雄貴のブログ

本。映画。演劇。旅。

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

13回目「その街の今は」(柴崎友香:新潮文庫)

この小説は平成18年に書かれたらしい。つまり、今から12年ほど前に書かれた小説だ。舞台は現代の大阪で、現代人の女性が主人公だ。ここでいう「現代」とは、12年前のことをいう。要するに12年前の柴崎友香さんが、12年前の大阪を舞台に書いた小説…

12回目「塩狩峠」(三浦綾子:新潮文庫)

敬虔なクリスチャンの父母の元に産まれた青年が、様々な人との出会いと別れの中で成長し、自らも敬虔なクリスチャンになり、最後は列車の事故から自らの身を犠牲にして乗客の命を守り死ぬ、という物語。要するに、一人の人間の幼少期から死ぬまでの一生を描…

11回目「髪結いの亭主」(パトリス・ルコント監督)

まず、タイトルが良い。なぜ、タイトルが良いかというと、映画の内容がまさに「髪結いの亭主」の話であるのと、これは、ネットで初めて得た知識なのだが、「髪結いの亭主」とは、日本の諺でもあり、その意味は「旦那が働かず、嫁の稼ぎで食っていること」或…

10回目「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)

カンヌのパルムドールに続き、アカデミー賞作品賞まで獲った話題の韓国映画。なので、沢山の人が観て、沢山の人がレビューを書いている。なので、今さらネタバレがどうのこうのいうレベルでもないだろう。むしろ、多少ネタバレしたところで、面白さに変わり…

9回目「痴人の愛」(谷崎潤一郎:新潮文庫)

男は真面目で、知識・教養があり、年上で人生経験も豊富で、良い職に就き、安定した収入(かなりの高給)があり、自立している。基本的には常識人。女は不真面目で、年下で、カフェの給仕以外の社会経験がなく、勉強もできない(英語の発音はとても上手いけれど…