松本雄貴のブログ

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98回目「ロフト」(エリク・ヴァン・ローイ監督)

ググってみたら、日韓合作の同名の映画があった。シンプルな題名なので被る事もあるだろう。今回は日韓の方ではなく、ベルギー映画である。思えば、ベルギーの映画を観るのは初めてかもしれない。

ロフトとは日本語で「中二階」という意味である(厳密には違うらしいが、一般的に中二階のある物件を「ロフト付き」と言いませんかね?)。内容的には「中二階」というより「事故物件」の方がしっくりくる。そんなことはさておき。

男友達5人(全員、いい年齢のおっさん&既婚者。内一人は初老)が高層マンションの一室を共用で借りており、その部屋で浮気相手、愛人、娼婦などと密会している。要は「ヤリ部屋」として利用している。ある日、5人の中の1人が部屋を訪れると、ベッドに手錠で繋がれた血まみれの女の死体が横たわっていた。女を殺害した犯人は5人の内の誰なのか。5人の男は互いに疑心暗鬼になり…。という内容。

スタイリッシュな映像が格好良く、話の展開もスピーディーでテンポが良いけど、何か物足りなさを感じた。こういう映画には、どうしても「どんでん返しのどんでん返しのさらにどんでん返し」を期待してしまう。『ロフト』は一回目の「どんでん返し」で終ってしまった印象。まぁ、勝手にハードル上げて勝手に物足りなさを感じるのは、全て自分の責任である。

この映画の5人の男は皆、最低な奴等である。そんな最低な奴等だが、一か所に集まれば最低な奴等の中でも、その「最低度合い」にグラデーションが発生するのが面白い。クズの中でも幾分プラトニックで紳士的な奴もいれば、ドラッグ使って強姦するような正真正銘の鬼畜もいる。しかし、こいつらは皆、妻子がいるのにも関わらず「ヤリ部屋」を共有しているという共通項があるのである。だから、比較的穏健で理知的に見える奴がマトモな事を言っても、どこか滑稽で「いやいや、お前変態やん」と突っ込みたくなる。逆に、粗野で暴力的な奴でも「妹に対する愛情は本物」という一面も持ち合わせており、「クズだけど、そういう部分もあるんだ」と思わせられる。因みに彼ら5人が集まった時にする会話は殆どが悪趣味な猥談。まあ、それが悪いとは思わないが、いい大人なのだから、もう少し別の話題もあるだろうとも思う。自分の勝手な偏見だが、この映画に出てくるような男性(40代くらいの、そこそこ地位のある小金持ちの男)が集まってする会話は、下ネタ・猥談・女関係の類は意外と少なく2割くらい、ゴルフと車の話が5割、残りの3割が仕事と投資の話というイメージがある。なんの根拠もない偏見ですが。そういう訳で、5人の男の人物像には、あまりリアリティを感じなかった。

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