松本雄貴のブログ

本。映画。演劇。旅。

49回目「ラストエンペラー」(ベルナルド・ベルトルッチ監督)

半藤一利の追悼という訳でもないが、『昭和史 1926-1945』(平凡社ライブラリー)を読んでいる。その最中に観たのが、ベルナルド・ベルトルッチの『ラストエンペラー』だ。映画の主役である愛新覚羅溥儀は、『昭和史』の最初の方に紹介される。『昭和史』は、…

48回目「ムカデ人間」トム・シックス監督

観る前は「どうせクソみたいな映画だろうなぁ」と高を括っていたが、見終わった後、「意外と面白かった」と思ってしまった。ただ、この手の映画の場合「意外と面白かった」というのは褒め言葉にはならない気がする。或いは、一番言って欲しくない言葉なので…

47回目「死の家の記録」(ドストエフスキー著 工藤精一郎訳:新潮文庫)

囚人の生活とか刑務所内の環境とかは、一般人にはなかなか触れる機会がない。時折、囚人に対する虐待や暴行、さらには、それによる囚人の死亡などのニュースを耳にすることがある。その度に、刑務所という場所に対して負のイメージを持ってしまう。ニュース…

46回目「銀河」(ルイス・ブニュエル監督)

ブログは最低でも月に3回は更新しようと思っている。だから、月末近くになっても2回しか更新できていなければ、けっこう焦る。別にノルマがあるわけでもないし、自分の人生においてブログを書く必要性など特にないのだが、毎度の如く「早く書かなければ」と…

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戯曲を書きました。それを上演して頂くことになりました。 劇作家の川村毅さん率いるT Factoryさんの企画で、<2020年の世界>をテーマに沢山の劇作家が書いた戯曲を上演しようとする試みに「劇作家」として参加したのです。 演出は川村毅さん、赤澤ムックさん…

45回目「アメリカン・ビューティー」(サム・メンデス監督)

監督のサム・メンデスは、『1917命をかけた伝令』が昨年のアカデミー賞にノミネートされた。しかし結果は、作品賞も監督賞もポン・ジュノの『パラサイト 半地下の家族』だった。この結果には納得できる。『1917~』も面白いとは思うが、両者を比べるとやはり…

44回目「マイナス」(山崎紗也夏(旧・沖さやか):ヤングサンデーコミックス)

この漫画を読んだのは4年ほど前である。スーパー銭湯に行った際、休憩室の漫画コーナーに置いてあった。シンプルなタイトルに興味を引かれて、手に取って読んでみた。全部で5巻だったと思うが、一気に読んだ。自分の性格から考えて、面白くなければ、スーパ…

43回目「π」(ダーレン・アロノフスキー監督)

数学の世界には、ミレニアム懸賞問題というものが7つある。証明すれば1億円もらえるらしい。ざっくり言うと、数学のめちゃくちゃ難しい未解決問題だ。文系の自分には、想像もつかない。興味のある人は「ミレニアム懸賞問題」でググってください。近年、7つ…

42回目「パリ、テキサス」(ヴィム・ヴェンダース監督)

家族を捨て、行方不明になっていた男(トラヴィス)がテキサスの砂漠で倒れているのを発見される。連絡を受けた男の弟が、彼を迎えに行く。トラヴィスは、しばらく弟夫婦の家に世話になる。弟夫婦の家には、トラヴィスの実の息子(ハンター)がいた。弟夫婦…

41回目「当世 悪魔の辞典」(別役実:朝日文芸文庫)

小説でも戯曲でもエッセイでもなく、辞書である。元ネタはアンブローズ・ビアスの『悪魔の辞典』であり、それの別役実バージョンである。辞書なので、それぞれの単語の意味が、あいうえお順に乗っている。「愛」で始まり、「我思う、ゆえに我あり」で終わる…

40回目「叫び声」(大江健三郎:講談社文芸文庫)

ブログの更新が少し滞ってしまった。最近、精神的に疲弊しており、良い作品に触れてもブログを書く気力が起こらなかったのだ。自分は基本的に怠け者なので、ブログを書くことに向いていないのかもしれない。だから、テーマの硬軟にかかわらず、ほぼ毎日のよ…

39回目「サーミの血」(アマンダ・ケンネル監督)

スウェーデン北部に住む少数民族サーミ人の少女を主人公にした物語。人種差別をテーマにした映画で、主人公が、スウェーデン人から理不尽で屈辱的な仕打ちを受けるシーンは、観ていて辛くなる。 映画としては、よくわからないシーンが幾つかあって(というの…

38回目「コルタサル短編集 悪魔の涎・追い求める男」(フリオ・コルタサル:岩波文庫)

アルゼンチン出身の作家、フリオ・コルタサルの短編集だ。表題の2作を含め、全10作品が収録されている。ラテンアメリカの文学について、自分は殆ど知らない。ガルシア・マルケスの小説を過去に一作だけ読んだことがあるくらいだ。 何も知らないので、変な偏…

37回目「ONE OUTS」(甲斐谷忍:集英社コミックス)

『異端の鳥』という映画を観たいと思っていたのだが、まだ観ていない。映画を観に行く時間が無いのだ。ただ、今後、時間が出来ても恐らく『異端の鳥』は観ないと思う。何故か。『異端の鳥』を観た人のレビューを沢山読んでいるうちに、どうも観る気が失せて…

36回目「ルルドの泉で」(ジェシカ・ハウスナー監督)

2011年公開「ルルドの泉で」のレビュー

35回目「マティアス&マキシム」(グザヴィエ・ドラン監督)

グザヴィエ・ドランの新作「マティアス&マキシム」の感想

34回目「希望の国のエクソダス」(村上龍:文春文庫)

村上龍の長編。「希望の国のエクソダス」の書評。

33回目 旅の記録:インド編⑥

2013年、インドを旅した時の記録。ジョードプル編。

32回目 旅の記録:インド編⑤

2013年、インドを旅した時の記録。ジャイプル編。

31 回目 旅の記録:インド編④

2013年、インドを旅した時の記録。デリー編その②

30回目 旅の記録:インド編③

2013年、インドを旅した時の記録。ヴァラナシ編。

29回目 旅の記録:インド編②

2013年、インドを旅した記録。アーグラー編。

28回目 旅の記録:インド編①

2013年、インドを旅した時の記録。デリー編。

27回目「彼女が消えた浜辺」(アスガル・ファルハーディー監督)

2009年に公開されたイラン映画のレビュー

26回目「4ヶ月、3週と2日」(クリスティアン・ムンジウ監督)

意味深なタイトルに引かれてDVDで観た。数年前にパルムドールを受賞したルーマニアの映画という情報以外は、なんの予備知識もなかった。タイトルから、4か月後に地球が滅亡するのに立ち向かう人類の話かな、などと馬鹿な連想をしたのだが、全然違う映画だっ…

25回目「アウターゾーン」「アウターゾーン リ:ビジテッド」(光原伸 集英社コミックス)

自分が小学生の頃の少年ジャンプは黄金期であった。「ドラゴンボール」「幽遊白書」「スラムダンク」の三本柱を筆頭に、多彩な漫画が連載されていた。当時は、大人たちの間でも少年ジャンプが流行っていたらしく、父親は毎週月曜日にジャンプを買って家に帰…

24回目「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」(ウディ・アレン監督)

アーティスト名と曲名は伏せるが、最近よく耳にする歌がある。恋愛ソングで、甘いというより幼い声が特徴の男性ボーカルの歌だ。至る所で流れている。知人に確認したら、実際に今、すごく売れているらしい。特に、若い人たちの間で大人気らしい。 ・・・全く…

23回目「ペイン・アンド・グローリー」(ペドロ・アルモドバル監督)

ペドロ・アルモドバルの映画は脚本がとても込み入っている。だから、集中して観ないと話が分からなくなり、置いてきぼりを喰らってしまう。しかし、過去にアルモドバルの映画を観て集中力が切れた事はない。スペイン人特有の情熱を反映しているのか、映像が…

22回目「高瀬舟」(森鴎外:集英社文庫)

『じいさんばあさん』『高瀬舟』『山椒大夫』『寒山拾得』『最後の一句』『堺事件』『阿部一族』の7つの短編が収録されている。そして『高瀬舟』と『寒山拾得』には森鴎外自身による解説が付いている。さらに巻末の解説(川村湊と林望)も読み応えがあり、…

21回目「デッド・ドント・ダイ」(ジム・ジャームッシュ監督)

ジム・ジャームッシュの映画は、どれもお洒落だ。セリフにユーモアがある。なにげないカットにもセンスを感じる。「ジム・ジャームッシュの映画が好き」と言うと、なんとなく映画通を気取ることができる。「センスがある人」と思われたいなら、好きな映画を…